「採血管」の種類について解説します!

採血管

病気を発見する上で欠かせない検査といえば血液検査です。採取した血液が入っていく容器を「採血管」といいます。採血する際に「種類が違う容器に血液を入れている?」「なぜ複数の容器に分けて採血するのか?」「たくさん血液を採取されて無駄じゃないか?」と疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。

血液検査の結果について医師から説明はありますが、血液検査自体の細かい説明を受けたことがある人は少ないはずです。採血するだけでも、使用される器具には細かい違いや留意点があり、少しでも知識があれば血液検査への理解度がより深まるでしょう。

今回は「採血管」にフォーカスして、採血管の種類やそれぞれの違いについて解説していきます。

採血管とは?

採血管の種類

血液検査で使われる注射針から血液を入れる容器は、採血管と呼ばれます。採血管を使って、赤血球などの血球数検査や血液の止血機能を調べる凝固検査など、複数の健康状態を調べることが可能です。

採血管の種類は50種類前後存在しますが、検査する項目によって使用する採血管は異なります。大抵、複数の検査が同時に行われるため、一回の血液検査で複数の採血管が使用されるでしょう。採血管は蓋の色で種類が判別できるようになっていて、大体採血量はどれも9ml以下です。採血管の中に紙や液体などの薬品が入っているものもありますが、検査項目によって入っている薬品は異なります。

複数ある採血管は具体的に何が違うのか、何故採血管が複数あり蓋の色が違うのかその理由をみていきましょう。

採血管は抗凝固剤入りとなしに分かれる

血菅を大きく分類するとプレーン管と抗凝固剤入り管の2タイプに分かれます。なぜ採血管が分かれるのかは、検査によって血液の状態を分ける必要があるためです。たとえば、腎臓や肝臓の検査では血液中の液体成分を使用します。反対に、赤血球や血小板の検査では血液の細胞を使用するなど使い分けが必要になります。

すなわち、採血管を用いた検査では、何を調べるかによって“体内で流れている血液状態”と“固まった(凝固)血液状態”に使い分ける必要があります。

体内で流れている血液状態を保つために使用されるのが「抗凝固剤」です。血液は体外で室温に触れた状態になると、通常30分程度で固まっていきます。この凝固を抑える役割を担うのが抗凝固剤というわけです。

血液を固まった状態にするためにプレーン管の中に「凝固促進剤」を使用する場合もあります。これは凝固を通常よりも早める作用がある薬品で、15分程度で固まっていきます。(固まった血液を遠心分離すると血清と血餅に分かれる)

このように複数の検査を行うためには、抗凝固剤が入った採血管と入っていない採血管で別々に採取していく必要があります。

もし、使用する採血管を間違えてしまうと、血糖の値が低く出たり電解質(ナトリウム・カリウム)が高くなってしまい、誤診に繋がる可能性があり危険です。採血管の蓋の色が種類によって違う理由は、こういった誤診がおきないように防止策にもなっているのです。

複数の採血管を使って採血をする場合は留意点もあります。注射針を入れてすぐに出てきた血液は組織液が混ざっていることが多く、組織液が混入すると凝固の原因になってしまいます。検査結果に影響がでてしまうため、この作用を理解した上で、採血管に接種していく順番に注意する必要があるでしょう。具体的には、1本目は凝固しても問題がない採血管、2本目は凝固検査用の採血管、3本目から凝固してしまうと検査に差し支えがでてしまう採血管という流れです。(真空採血の場合)もし、凝固検査のみを行う場合は2本採血し、2本目の採血管を使って検査していきます。

抗凝固剤にも複数の種類があり、検査する内容によって細分化して使い分ける必要があります。

生化学検査や脂質を測定する検査

血算やヘモグロビン濃度を測定

肝臓機能・ナトリウムやカリウムなどの電解質・コレステロールなどの生化学検査や脂質を測定する検査です。

この検査で使われる採血管は、採取後に遠心にかけられ血球と血漿に分けられます。施設によって血球だけ用いて検査する場合もあれば、血漿も用いて検査する場合もあるでしょう。

使用される抗凝固剤はヘパリンチウムで、凝固因子の働きを抑制する効力があります。カルシウムイオンを除去するタイプの抗凝固剤は、生化学検査に使う薬品の邪魔をする可能性があり適していません。

こちらの検査では、項目によって血液の必要量が変わるため、採血が2本〜3本になることもあります。

凝固検査や血液の凝固作用を調べる検査

怪我をした際に”かさぶた”が出来るように、血液には凝固作用があります。その凝固作用を正常に働いているかをみる検査です。

使用される抗凝固剤はクエン酸ナトリウムで、EDTA-2Kと同様にカルシウムを除去するタイプとなります。ただし、効力はEDTA-2Kよりも弱いのが特徴です。

凝固検査では血液の採血量が重要で、血液とクエン酸の混合比を9:1にする必要があります。血液量が少ないとバランスが崩れ、正確な検査が難しくなるでしょう。

血糖検査や血液中の血糖値を確認する検査

糖尿病を発見するために用いられる血糖値を測定する検査です。使用される抗凝固剤はフッ化ナトリウムで、カルシウムを除去するタイプとなります。血液中の糖は赤血球の代謝により、採血後は減少していきます。

そのためプレーン管に採血した場合、本来の血糖値よりも値が下がった状態になってしまうのです。そこで、フッ化ナトリウムには解糖系酵素であるエノラーゼの働きを抑える効力があるため、体内と同じ血糖値を維持できます。

ちなみに、血糖検査にはフッ化ナトリウムを単独で使用する場合とEDTAなどと混合して使用される場合があり状況によって異なるでしょう。

採血管の種類について解説まとめ

採血管の種類について

採血管とは血液検査で血液を保管する容器です。検査する内容によって適した血液の状態が変わるため、採血時には複数の採血管に接種する必要があります。

また、採血管には種類があり、検査項目によって抗凝固剤もしくは凝固促進剤等の薬品が使われるでしょう。使用される抗凝固剤には4種類あり、効力に若干の違いがあるため、検査項目に適した薬品を使用していく必要があります。採血管を理解しておくと、血液検査に対してより理解が深まるでしょう。

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