「そういえば、趣味って何だっけ?」と感じた瞬間から始めよう
夜勤明けにベッドへ倒れ込み、次の出勤までひたすら眠る。休日はやっと体が動くようになった頃には夕方になっていて、気づけばまた仕事の準備をしている――そんな日々を繰り返すうちに、「最後に心から楽しいと感じたのはいつだろう?」と手が止まった経験はありませんか。
20〜30代の看護師さんの多くが、ある時点で「趣味ゼロ」の自分に気づきます。学生時代は映画が好きだったのに、気づけばここ1年で1本も観ていない。友人と旅行するのが楽しみだったのに、シフトが合わなくてずっとキャンセルしている。そんな「小さな喪失」が積み重なると、仕事以外の自分が薄くなっていくような、なんとも言えない感覚が生まれてくることがあります。
この記事では、忙しい看護師が「趣味ゼロ」に気づいたときに試してほしい、低コスト・短時間でも始めやすい趣味の見つけ方を5つご紹介します。「大げさなことをしなくていい」「完璧にやらなくていい」をテーマに、小さな一歩から始められる内容をまとめました。
ヒント1:「昔好きだったこと」リストを10分で書き出す
趣味を「新しく探す」前に、まず過去を振り返ることが一番の近道です。小学生の頃に夢中になっていたこと、高校生のときに放課後に続けていたこと、専門学校・大学時代に仲間と楽しんでいたこと――記憶の引き出しを開けてみると、意外なほど「好きだったもの」が出てきます。
やり方はシンプルです。スマートフォンのメモアプリでも、手帳の端でも構いません。「昔好きだったこと・ワクワクしたこと」というタイトルで、思いつくままに書き出してみてください。ジャンルは問いません。
- 絵を描くのが好きだった
- アクセサリーを集めていた
- 料理の本を読むのが楽しかった
- ゲームに熱中していた時期があった
- 山登りに一度だけ行って感動した
書き出したリストの中で、今でも少し「いいな」と感じるものがあれば、それが趣味再発見の入り口です。仕事を辞める前や学生時代の自分が夢中になれたことは、今のあなたにも必ず何かを届けてくれます。リストを眺めるだけでも、心がほんの少し軽くなることがあるかもしれません。
ヒント2:「15分でできること」から始める超ミニマム趣味
趣味と聞くと、「まとまった時間が必要」「道具を揃えなければ」というハードルを感じてしまいがちです。でも、忙しい看護師にとってリアルな趣味は、15分あれば楽しめるものであることが重要です。
たとえば、こんな活動があります。
- スケッチ・落書き:画材を揃えなくても、ノートとボールペンだけで始められます。上手に描こうとせず、目の前にあるものをそのまま線でなぞるだけでも、不思議と集中できます。
- 読書(短編・エッセイ):長編小説は読み切れなくても、短編集やエッセイ集なら1話15〜20分で完結します。通勤中や休憩室でも読みやすいサイズ感の本を選んでみましょう。
- ストレッチ&ゆるいヨガ:動画サービスには10〜15分の短い動画が豊富にあります。夜勤明けの体を整えるつもりで始めると、続けやすいです。
- 音楽を「ちゃんと聴く」時間:ながら聴きではなく、イヤホンをして目を閉じ、1曲だけ集中して聴く。それだけで気分がリセットされることがあります。
大切なのは「15分でも趣味は趣味」と認めてあげることです。完結した体験が積み重なると、「自分には趣味がある」という感覚が少しずつ戻ってきます。
ヒント3:「体験ワークショップ」で新しい自分に出会う
「何をやっても続かなかった」「何が好きか本当にわからない」という場合は、まずやってみることが一番です。そのためのハードルが低いのが、単発の体験ワークショップです。
陶芸、フラワーアレンジメント、パン作り、写真、キャンドル作り、書道、ガラス工芸など、週末に1〜2時間で完結する体験教室は全国各地に増えています。費用も多くの場合3,000〜5,000円程度で、道具を持参する必要もありません。
ワークショップの良いところは、「続けなくてもいい」というプレッシャーのなさです。1回だけ試してみて、楽しければ次も行く。楽しくなければ別のものを探す。それだけで十分です。看護師の仕事では常に患者さんのことを最優先に考えますが、ワークショップの時間はただ「自分が楽しいかどうか」だけを基準にできます。その感覚自体が、じつは大きなリフレッシュになります。
友人や同僚を誘って一緒に行くのもおすすめです。同じ職場の人と「仕事以外の場所で会う」体験は、意外と関係性を新鮮にしてくれることがあります。
ヒント4:「記録する」ことを趣味にする
これといった趣味が見つからないときに試してほしいのが、「記録すること」を趣味にするアプローチです。記録は内容を選ばないため、どんな生活スタイルにも合わせられます。
- 食べたものの写真日記:食事の写真を撮って、一言コメントを添えるだけ。特別なレストランでなくてもOK。コンビニのごはんでも、自炊の一皿でも、「今日はこれが美味しかった」という記録が積み重なると、じんわり楽しくなってきます。
- 読んだ本・観た映画の記録:評価や長い感想は不要。タイトルと一言だけメモしておくと、「自分はこういうものが好きなんだ」という発見が生まれます。
- 散歩ログ:休日に少し遠回りして帰り道を変えてみる。気になる建物や植物を写真に撮る。同じ道でも季節によって変わる景色が、少しずつ「自分だけのコレクション」になっていきます。
- 手書き日記(3行でOK):長く書こうとすると続きません。「今日感じたこと」「良かったこと」「食べたいもの」の3行だけ書く習慣をつけると、自分の気持ちを整理する力がついてきます。
記録という行為は、日常の中に「意味を見出す練習」でもあります。仕事で感情的に消耗しがちな看護師にとって、自分の感覚を大切にする時間は、心のバランスを保ううえでも価値があるかもしれません。
ヒント5:「コミュニティ」に顔を出してみる
趣味を持つことで得られる大きなメリットのひとつが、「職場以外の人間関係」です。看護師の仕事は職場内のつながりがとても濃い分、気がつくと社会的なつながりが職場だけに偏ってしまうことがあります。
趣味のコミュニティは、職業・年齢・バックグラウンドが異なる人たちと気軽に交流できる場所です。最近はSNSやオンラインでつながるコミュニティも多く、外出が難しいときでも参加できるものが増えています。
- 読書会・本の感想を語り合うオンラインコミュニティ
- ランニングや登山など、アウトドア系のゆるいグループ
- ハンドメイドや料理を共有するSNSコミュニティ
- 語学学習のオンライン交流会
最初から深くコミットしなくても大丈夫です。まずは眺めるだけ、投稿を読むだけでも、「自分と同じ趣味を持つ人がいる」という感覚が、孤独感を和らげてくれることがあります。少し慣れてきたら、自分の写真や感想を一言投稿してみるだけで、思わぬつながりが生まれることもあります。
まとめ:趣味は「完成させるもの」じゃなくていい
「趣味を持たなければ」と思うと、どこかプレッシャーになってしまうことがあります。でも、趣味はスペシャルなスキルを身につけることでも、継続的な実績を積み上げることでもありません。「仕事とは違う時間の使い方をする」「仕事以外の自分を大切にする」――それだけでいいのです。
今回ご紹介した5つのヒントをまとめます。
- 昔好きだったことを書き出してみる
- 15分でできる超ミニマム趣味から始める
- 単発の体験ワークショップで新しいことを試す
- 記録することを趣味にする
- コミュニティに顔を出して職場外のつながりを作る
どれかひとつでも「やってみようかな」と思えるものがあれば、それが第一歩です。完璧に続けられなくても、挫折しても、また戻ってきていい。趣味とは、そのくらい気軽なものでいいと思います。
患者さんのために全力を尽くす看護師だからこそ、仕事以外の時間に「自分のための時間」を少しずつ取り戻していってください。あなたが自分を大切にすることは、長く看護師を続けるためにも、きっと意味のあることです。